湯の印象 A 秘境度 5
『誰も来れない・来る用事のない秘境はとてもアットホーム』
ここ『魚梁瀬地区』は今売り出し中の『山奥の馬路村』からさらに同じ距離だけ奥地に入った土佐の秘境。奥祖谷に逃げ延びた平家の落人がさらに逃れて木頭村に入り、もう一度奥に逃げてたどり着いた辺境の地である。高知県人でも訪れたことのある人はそう多くはいない。先日、1日の降水量で日本一の座に躍り出た森林地帯でもある。平地は皆無で周囲からの交通路もなく、20世紀になって初めて米食が可能になったという。(詳しくは『四国堰堤88箇所22番 魚柳瀬ダム』を参照)。
日が暮れて帰れなくなり、やむなくこの地に一宿を投じることになった。地区にただ一軒の旅館に電話をすると、女将らしき人から「遅いから先に近くの『やなせ温泉』で一風呂浴びてから来るように」と指示された。この温泉は部落での共同浴場もかねているようだ。閉館時刻近くに着いた私を温泉管理人のおばさんが「香川からの人やね〜、待っとったよ〜。」と迎えてくれた。どうやら旅館から連絡を入れてくれていたらしい。上がりこむと、おばさんは男衆に戸締りをまかせて「そしたら私は帰ります〜。ごゆっくり〜。」と挨拶をくれて帰宅してしまった。のんびりといいお湯をいただいてさっぱりした後で5分ほど離れた旅館に到着。「ごめんください」と引き戸を開けたところに「いらっしゃーい」と出てきた女将は、なんのことはないさっきのおばさんである。(笑)
そんな『やなせ温泉』はアットホームで飾り気のない、それでいて良質な温泉である。地元の人達のみならず、魚梁瀬の原生林に山登りに訪れたりダム湖上流に渓流釣りに来たお客さんの世間話の憩いの場でもある。たった一軒しかないよろず屋(COOP馬路の支店)で地区の人口を聞くと店員さんから即座に一の位まで正確な答えが返ってくるような(笑)過疎の部落である。しかし、いかにも都会人受けするそれらしい秘境っぽさではなく、自然体そのままのこんな部落のこんな気さくな温泉こそが四国らしい秘境温泉であると再認識した次第である。
http://www.inforyoma.or.jp/umaji/yanaseonsen/yanaseonsen.htm
近隣の情報 『四国堰堤88箇所18番 久木ダム』 『四国堰堤88箇所19番 魚梁瀬ダム』 『四国酒蔵88箇所22番 美丈夫』 『四国酒蔵88箇所23番 南酒造場』
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「この建物でも地区の中では屈指の規模である。」
この建物でも地区の中では屈指の規模である。
「こじんまりと清潔な浴室。湯船内の木戸を開けると・・・。」
こじんまりと清潔な浴室。湯船内の木戸を開けると・・・。
「湯船続きでそのまま露天。(画像をクリックすると拡大します)」
湯船続きでそのまま露天。(画像をクリックすると拡大します)
「温泉となりの『魚梁瀬森林鉄道』。といっても一周200メートルほどの広場を走るミニ列車である。周りは近所の民家であり、東京浅草の「花やしきのジェットコースター」を彷彿とさせる乗り心地。(笑)」
温泉となりの『魚梁瀬森林鉄道』。といっても一周200メートルほどの広場を走るミニ列車である。周りは近所の民家であり、東京浅草の「花やしきのジェットコースター」を彷彿とさせる乗り心地。(笑)
「森林鉄道乗車心得。(画像をクリックすると拡大します) なお、最後の一項であるが、災害のときに総延長200メートルのお猿の列車が運行しているとは思えない。というより、そもそも降雨量日本一のこの秘境に災害のときにたどり着くこと自体がほぼ不可能(笑)」
森林鉄道乗車心得。(画像をクリックすると拡大します) なお、最後の一項であるが、災害のときに総延長200メートルのお猿の列車が運行しているとは思えない。というより、そもそも降雨量日本一のこの秘境に災害のときにたどり着くこと自体がほぼ不可能(笑)
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