湯の印象 C 秘境度 4
『なんの理由でこんなところに?』
安芸市を流れる清流『伊尾木川』を10キロほど遡ると『入河内』なる集落を通過する。その山村の三叉路に、本線から外れて山に向かって、木片に書いた消えそうな立て札が刺さっている。『こまどり』の字の下に温泉マーク。そもそも伊尾木ダムの取材が目的でありまったく予定になかったが、怪しすぎる看板に本能的に導かれて、ハンドルを切ってしまった。急坂を10分ほど登り、トンネルというより隧道を抜けて左折すると、山あいの畑の中に民家然として建っているのがこの温泉。至近距離に近づくまでは温泉と分からない。
国道55号線沿いに市街地が広がる安芸市は「海」の印象が強いが、実は意外と奥に山深く、林道で分水嶺を越えると「もうそこは奥物部」というような営林の町でもある。『こまどり温泉』は、その山間の『丸石集落』に安芸市の手によって作られた健康福祉施設的な温泉である。バス停もあるが日に二便のみ。温泉の前の道幅はバスの通行は不可能だと思っていたら、車体にバスと書かれたジャンボタクシーがやってきた。およそ観光客の来る場所でも観光客を迎える雰囲気でもない。お客さんは近隣の人たちだと思うが、この集落の人口でもたったの20人というから、周辺の山間部の広いエリアにファンを抱えているのであろう。おそらく山村に暮らすお年寄りにとっての数少ない娯楽場として親しまれている施設であると思われる。市がここに温泉をつくったわけがなんとなく理解できるのである。 近隣のスポット 『四国堰堤88箇所20番 伊尾木川ダム』 『四国酒蔵88箇所24番 菊水酒造』
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「県道からの分かれ道の看板。(画像をクリックすると拡大します) まるで「ウォーリーを捜せ」である。(笑)」
県道からの分かれ道の看板。(画像をクリックすると拡大します) まるで「ウォーリーを捜せ」である。(笑)
「看板がなければ、なんのへんてつもない民家である。」
看板がなければ、なんのへんてつもない民家である。
「温泉の下には安芸川の支流が流れる。」
温泉の下には安芸川の支流が流れる。
「バスは朝と昼過ぎの2便のみ。日暮れ近くに走るのは度胸のいる道である。クリックして各区間の時間をよく見てほしい。終点から二つ目であるが三つ目の停留所はもう町である。その間には人は住んでいないということが推理できる。」
バスは朝と昼過ぎの2便のみ。日暮れ近くに走るのは度胸のいる道である。クリックして各区間の時間をよく見てほしい。終点から二つ目であるが三つ目の停留所はもう町である。その間には人は住んでいないということが推理できる。
「高知の温泉場は良心市(買う人の良心まかせの無人市)を備えているものが多い。それだけ素朴な土地にある。」
高知の温泉場は良心市(買う人の良心まかせの無人市)を備えているものが多い。それだけ素朴な土地にある。
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