湯の印象 B 秘境度 4
『観光から取り残された地』 『四万十川』の最大の支流『梼原(ゆすはら)川』は、大正町で本流と分かれてから源流点となる四国カルストに向かって山を上る。その途上にあるのが『下津井温泉』である。下津井集落の公民館付近にあるこの温泉は地域のヘルスセンターいわゆる保養施設である。
下流の大正町は、四万十川中流の観光拠点のひとつであり、前後にさまざまな観光スポットや「大正」と「とおあ」の二つの観光用の道の駅を抱える県外客の多い地域である。しかしそこから10キロの下津井地区は、ダムを持つ支流である(清流四万十川にはダムがないというイメージ戦略なので 笑)ということだけで四万十のブランドから外されている上に、集落に至る道路が一本しかなく、またそれが全国的に有名な国道(酷道)439号線とあって、なかなか余人を寄せ付けない。
しかしそれがために、手垢にまみれず、今となっては本流には少なくなった四万十流域の本来の素朴さを、そのまま残している数少ない地区のひとつであるともいえる。たとえば、その昔は林業で栄えたがゆえの当時の森林鉄道の跡が散策道として今でもそのまま残っている。写真の『めがね橋』も昭和初期に鉄道橋として実働していた文化遺産である。
ここに位置する『下津井温泉』もそんな地域の保養場として至って地味に地味に地域のお客さんを集めているが、実際、湯船の大きさが「今のところはこれで十分」ということを雄弁に語っている。(笑) この地域には、もっと陽があたっても良いのだろうが、あてればいらぬ手垢がつく。熱しやすく冷めやすいこの国の町興しを見るにつけ、ガラパゴス諸島や西表島のような保護遺産指定をとってからのPRが望ましいのかもしれないとも思ってしまう。いや半分は冗談抜きで。(再笑)
近くのスポット 『四国堰堤88箇所39番 津賀ダム』 『四国堰堤88箇所番外7番 佐賀取水堰』
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「国道439号線を大正町より梼原川沿いに10キロ強遡ると『津賀ダム』のダム湖の対岸に温泉が見えて来る。」
国道439号線を大正町より梼原川沿いに10キロ強遡ると『津賀ダム』のダム湖の対岸に温泉が見えて来る。
「玄関まで至る小道は100メートルながら結構ハード」
玄関まで至る小道は100メートルながら結構ハード
「湯船はせいぜい2人用。小グループではいるときは順番待ちも必要。」
湯船はせいぜい2人用。小グループではいるときは順番待ちも必要。
「下津井地区の旧跡「めがね橋」。今もその跡が残る森林鉄道の鉄道橋であったらしい。山里になかなかの風情である。徒歩で渡ることも可能。」
下津井地区の旧跡「めがね橋」。今もその跡が残る森林鉄道の鉄道橋であったらしい。山里になかなかの風情である。徒歩で渡ることも可能。
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