湯の印象 A 秘境度 2
『ごく普通の太平洋』
昔は宴会旅館としてそれはそれは賑わっていたと宿の主人が懐かしがっていた。この温泉は裏の畑から湧き出したと地元の親父が言っていた。中村市の温泉は湯をここから運んでいるので地元の通はわざわざここまで入りにくるんだと、たまたま一緒に入浴していた爺様が教えてくれた。一部温泉ファンと遍路客に今なお根強い人気の『井の岬温泉』はそんな温泉旅館である。
太平洋の浜辺の荒地にぽつんと建っている古びた鉄筋コンクリートの姿は、鄙びたというよりもよくぞ風波に耐えてきたという経年の趣がある。中は四国ではよく見る一昔前の温泉宿。なんの飾りけももないが、やはりここの価値は太平洋の見える古びた浴場である。観光名所のような風光明媚な景色ではなく、おそらくここらあたりの家庭から見る普通の海の風景。自宅の湯船の窓から温泉の湯につかりながら海を眺めるような、まさに肩のこらない自然体の湯である。
15時から営業という変則スタイルは「お湯に入りたければ、ここか中村に泊まらないと難しいで。」という地元観光重視の姿勢の表れだろうか。まさか「昼間はゆっくりさせておいて」ということではないだろう。ないと思う。ないでいてほしいのであえて聞かないでおくことにする。(笑)
近くのスポット 『四国酒蔵88箇所43番 藤娘』
2012年をもって閉館しました。
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「古びてはいるが建物のピンクのラインが昔は最新旅館だったことを物語っている。」
古びてはいるが建物のピンクのラインが昔は最新旅館だったことを物語っている。
「浴場からは180度太平洋。角度からすると冬場は水平線に落ちる夕陽が素晴らしいはずである。」
浴場からは180度太平洋。角度からすると冬場は水平線に落ちる夕陽が素晴らしいはずである。
「国道56号線を中村方面に向かい井の岬トンネルを出たところの旧道を入る。(すべての画像はクリックすると拡大します)」
国道56号線を中村方面に向かい井の岬トンネルを出たところの旧道を入る。(すべての画像はクリックすると拡大します)
「国道56号線土佐佐賀にある『横浜トンネル』。かっこいいぞ名前は。」
国道56号線土佐佐賀にある『横浜トンネル』。かっこいいぞ名前は。
「同じく56号線井の岬トンネルの高知側にあるドライブイン『白い館』。隣の母屋の一角であり正確には白い館ではなく館の一部の壁が白い。(笑)」
同じく56号線井の岬トンネルの高知側にあるドライブイン『白い館』。隣の母屋の一角であり正確には白い館ではなく館の一部の壁が白い。(笑)
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