湯の印象 S 秘境度 4
『隠れ一位』 私らごとき素人がランキングをするのはあんまり好きではないのだが、温泉88箇所委員会内での酒飲み話での話題「個人的に一番好きな温泉は?」で、温泉歴20年のU戸係長と四国の秘境大好きの私とが奇しくも同意見となった温泉。その割りに一般にはまったく知られていない。ただ、迎合嫌いの「天の邪鬼系」の二人の意見が揃ったことに意味がある。
『四万十川』は公式には『渡川』という名であったのであるが、いつの頃からか俗称のほうが有名となり改名した川である。その「四万十」の名の由来は諸説(水源の「四万川」+地域名「十川」説とかアイヌ語起源説等々)があるが、観光パンフに最もそれらしく語られているのが「四万と八つの支流を持つ」といういわれである。おそらくはイメージつくりのために採用された説であり、そもそもこんな数がどこから出てきたのかは「?」なのだが、四万十流域に非常に多くの支流が網のように広がっているのは事実である。その数ある支流の中でも源流以外で一番奥地にまで流れている支流のひとつが『北川川(きたがわがわ)』。その畔に隠れるように佇んでいるのが民宿『郷麓温泉』である。
数年前にリニューアルされた民宿施設は見違えるほどモダンになったが、万人が素直に認めるお湯の質と隣に流れる北川川のせせらぎとは昔からそのまま変わらない。県内外にコアなファンが多く、その大部分がたまたま入浴してすっかり惚れ込みリピーターになってしまった人達ばかりである。好き者に口コミで広がっているので大きく宣伝する必要もないのであろう。まさに秘湯である。U戸係長も私も同じように好感を持っているのは、「それっぽい内装」や「気取った宣伝広告営業」や「ありもしない伝説づくり」による集客ではなく、「本来の温泉の意味」をわかっているお客さんだけが自分の意志で入浴しに来ている点である。その意味ではここがリニューアルしてモダンになったのは、常連にとっても良いことには違いないのであるが、なぜだかどこかに「悔しい」気持ちもあるのを、皆さんわかってもらえるだろうか?(微笑)
近くのスポット 『四国堰堤88箇所38番 初瀬ダム』
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「最近、改装してモダンになった」
最近、改装してモダンになった
「3人くらいが限度の浴室(U戸撮影)」
3人くらいが限度の浴室(U戸撮影)
「入浴後はベランダで涼む(U戸撮影)」
入浴後はベランダで涼む(U戸撮影)
「宿の眼下には四万十川水系の最上流の北川川」
宿の眼下には四万十川水系の最上流の北川川
「これはこれで味のあった以前の温泉施設」
これはこれで味のあった以前の温泉施設
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