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湯の印象 B秘境度  3
 
 『隣は隣 うちはうち』
 
 地図を拡げると、四万十川は河口の中村から60キロ上流でいったん太平洋岸の標高300mの台地である窪川方面にV字にカーブを切って遡っていく。このV字頂点で愛媛県南予からの支流『広見川』との合流地点にあるのが江川崎(えかわざき)の町である。
 
 このあたりには「用井(もちい)温泉」が湧出し、近隣では温泉民宿やホテルが営まれている。その中で日帰り温泉はただ二つ、この山村ヘルスセンターと近所の有名観光リゾートホテルの二つである。星の見えるホテルとして全国の観光案内に名をはせているホテルの脇で、ここに温泉があることは地元の人しか知らない。
 
 もちろんお湯は一緒であるが、ホテルの入浴料は800円、ヘルスセンターは350円であることは、地元の人しか知らない。
 
 さらに宿泊もできるが、ホテルは一泊二食付会席料理で12000円、ヘルスセンターは素泊まりのみで4000円であることは、地元の人しか知らない。
 
 浴室は、ホテルは前面ガラス張りでミストサウナ付大浴場、ヘルスセンターはサッシ窓で5人入れば芋の子を洗う状況であることは、地元の人しか知らない。
 
 脱衣所は、ホテルはバスアメニティ完備、ヘルスセンターはロッカーの鍵がかからないこともあることは、地元の人しか知らない。
 
 接客はホテルはおもてなし精神旺盛で、ヘルスセンターはほぼ無口であることも、地元の人しか知らない。
 
 どちらをどう使うかは、使い分けである。隣同士でここまではっきりと用途別で分かれて共存している珍しい温泉である。
 
 
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 「国道381号線が441号線と交わる江川崎の町の四万十川左岸の西土佐中学の裏にある公営の山村ヘルスセンターである。」国道381号線が441号線と交わる江川崎の町の四万十川左岸の西土佐中学の裏にある公営の山村ヘルスセンターである。 
 
   
 「入り口近くに行くまで「温泉」の「お」の字もない。」入り口近くに行くまで「温泉」の「お」の字もない。 
 
   
 「湯船からは四万十川を挟んで西土佐の山々が見える。」湯船からは四万十川を挟んで西土佐の山々が見える。 
 
   
 「すぐ隣が江川崎気象観測所 2013年8月12日に日本最高気温41℃を観測。」すぐ隣が江川崎気象観測所 2013年8月12日に日本最高気温41℃を観測。 
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